どうしてこうなったのか、最初のきっかけは何だったのか。…もう忘れてしまったけれど。
 私は愛しい人と一緒にいた。

 ふたりきりの世界で。

 きっと、あの頃の私が見たら言葉を失うだろう。

 ―――あぁ、なんて馬鹿なことをしてるんだろう。
 そんなことをしても意味がないのに、と。

 そう言うんだろう。

『馬鹿なこと』
 …そんなの分かってる。

 それでも。
 この手を離すことなんて出来なかったし、してほしくなかった。

 京から離れるあの時。
 藤姫は小さく「神子さま、」と呟いた。泣きそうな顔で。
 私が笑顔で手を振ると、藤姫はさっきよりも小さく「みこさま」と呟いた。体は小刻みに震えていた。

(…ごめんね、藤姫)
 貴方が傷ついてることは知ってた。ずっと、私が傍にいることを望んでいるってことも。
 分かってたの。
 でも、私はその声が聞こえないふりをした。その顔に、その震えに気付かないふりをした。

 私たちの世界はとても小さく狭いもので、お互いがいればそれでよかったから。
 私と、彼だけでこの世界は構成されてたの。
 その世界には、藤姫や、他の八葉はいなかった。存在すらしていなかった。

 いつから私たちの歯車は狂ってしまったんだろう。今はもう思い出せない。
 何もかもが、彼になってしまったから。

 ごめんね、藤姫。それでも私は彼しかいらなかった。
 この人しか、いらなかったの。

 いつものように目を閉じて、お互いの耳を塞いだ。
 何も見えないように、何も聞こえないように。
 だって。私たち以外はこの世界には必要(いら)ないもの。


 そうして、また閉ざされた世界に堕ちる。

「馬鹿ね」と、小さく蔑むように呟く自分には気付かないふりをして。



(それがどんなに愚かなことなのかも分かっているけれど)






  病んでるあかねちゃんどーん!
  真っ直ぐ過ぎてそうそう病みそうにはないんですけどね。寧ろ(一部の)八葉が率先して病んでそう。
  でも一生懸命過ぎて、何かの拍子に壊れちゃう事もあるかな…と。
  あかねちゃんが壊れたら結構な病み具合だと思う。

  ここまで読んで下さってありがとうございました。
  2009.09.20