『…あのね、瑛。私――――――』
あの時。
あかりの言葉に一瞬言葉が詰まったのを覚えてる。
高校で初めてあかりと出会って、大学の学部も一緒で。
社会に出ても当たり前のように繋がっていて、よく2人で飲んだりしていた。
俺もそれなりに何人かの女子と付き合って、あかりも恋人のことを色々と相談したりして。
漠然と、当たり前のようにこんな日々が永遠に続くんじゃないかと。
そう思ってたんだ。
「……馬鹿だよなぁ、そんなことある訳ないのに」
そう呟いて、手元の招待状に目を落とした。
【――あかり(旧姓:海野)】
俺じゃない奴の名前の横に、あいつの名前があるのを見て。
胸が、痛んだ。
転がってるペンを取って2つの選択肢に丸を付けようとした時、何かに気付いた。
(…?)
カードの隅に小さく『忙しいかもしれないけど来てね!待ってるから!』と書かれていた。
あかりの字だった。
あかりは知ってる。
こう言われると、俺が絶対に断れないことを。
(そういえば、よくメールの最後に『待ってるから』って入れてたな…)
俺にとっては脅し文句と一緒だ。あかりは本当に待ってるヤツだから。
一度、事情で連絡出来なくて約束した2時間後に待ち合わせしてた店に行ったことがあった。
あかりは椅子に座ってた。…たった1人の客だった。
俺を見つけると、「あ、よかった!事故にでも遭ってるのかと思ったよ」と笑って。
「馬鹿じゃないのか」なんて言おうと思ってた俺は、1人座る彼女とその言葉に「…ごめん」と一言謝ることしか出来なくて。
それでも。
ずっと俺を信じて待っててくれた彼女が嬉しかった。
書かれていた文を暫く見つめて、諦めたように溜息をつく。
「また脅しに負けるのか…」
そう笑って『出席』に丸を付けて、招待状を封筒に戻した。
きっと、これからもあいつとは繋がってる。
夜中のメールも、電話もきっと変わらず来るだろう(あいつの性格からして)
ただ。
―――ただ、俺の傍にはもういないだけだ。
仕事帰りに夜中まで飲んでうちに泊まることはもうないし、辛い時に真っ先に俺に相談して来ることはない。
もう遅いんだ。なにもかも。
一筋の滴が頬を伝ったのが分かる。
(…もういい年なのに)
まだまだガキだな、なんて思いながら鼻を啜る。
…こんな俺を見たら、あいつは笑うだろうか。それとも、申し訳なさそうに謝るのだろうか。
それとも、俺と―――――。
そこまで考えて何を感傷的になってんだ、と首を振る。
(…なんだよ)
馬鹿みたいじゃないか俺。
こんなにも、まだあいつが俺の中にいたなんて。
もうとっくに吹っ切っているんだと。そう思っていたのに。
(――…あぁ)
くしゃり、と髪を掴んで、薄く自嘲する。
頬を、拭ったはずの暖かい滴が伝った。

(俺も、あいつへのこの気持ちも)
佐伯ノット告白パターンでデイジー結婚バージョン!
ヘタレ佐伯が好きだけど、ヘタレ過ぎたら知らない男にデイジー持って行かれちゃうよ!
佐伯もデイジーもそこそこ付き合ってる人はいるけど、相談とか一番よく会うのはお互いだったらよいと思う!
そして飲み過ぎたデイジーをうちに泊めたりしてたらもう言う事はないよ!(落ち着いて)
しかし、佐伯は本当に切ない系とギャグが似合うなぁ……(失礼)
ここまで読んで下さってありがとうございました。
2009.09.27
