結局。
俺はいつまでもお前に勝てないだろうし、お前はいつまでも俺に勝ってるとは気付かないんだろう。

「私、いつか一ノ瀬さんに勝てるんですかね?」
「……何?」
唐突な言葉に後ろを振り返ると、ベッドに腰掛け、ひよこのクッションを抱いている彼女と目が合った(彼女が勝手に持ち込んだものだ)
「というと?」
「だって私、いつも一ノ瀬さんに負けっぱなしじゃないですか!」
「は?」
ヒトミの言葉に眉をひそめる。…今度は一体何だ。
「学力では勝てないのは分かってるんですけど…」
「まぁ…勝てないとは思うが、その分努力をすればいいだろう。今より10位くらいは上がるんじゃないか?」
俺の言葉にヒトミが「そ、そんなには上がらないと思いますけど…」と小さく呟く。
「かと言って、一ノ瀬さん格好いいし目立つし…」
「…格好良くなりたいのか?」
変なヤツだな。
「そういうんじゃないんですってばぁ!」
ベッドの上をゴロゴロと転がる恋人を「うるさい。」と一瞥して、彼女の格好に思わず固まってしまった。
短めなスカートからすらりと覗く白い足と、上目遣い。
(……………。)
精一杯の理性を総動員させながら目を逸らす。
きっと「無防備すぎる」と注意をしても、彼女は不思議そうに首を傾げるだけだろう。
「あ〜あ…。いつになったら一ノ瀬さんに勝てるのかなぁ」
ひよこを抱きしめたまま、寝転がったまま呟く恋人を視線で追う。
(…馬鹿を言うな)
彼女の言葉に気付かれないように小さく溜息をついた。
確かに馬鹿は嫌いだが、ヒトミは別に決まってるし(しかも俺が教えるという口実も出来る)そもそも本人が言うほど頭も悪くない。
容姿も格好良くはないが(寧ろ格好良いのもどうなんだと思う)くるくると表情が変わり、明るい彼女はどこにいても目を惹く。
しかも、ただでさえ1年間で55kgのダイエットに成功したんだ。
以前のヒトミを知ってる2・3年生間でも断然目立っているし、その事実を知らない1年生からも何故か人気がある。
(…まぁ、大方色んな1年の世話を焼いたんだろうが…)
今までだって俺はこいつに勝てたことなど一度もない。出逢ってから一度も、だ。
そして、今この瞬間も、俺は彼女の事で頭を悩ませている。
(人の気も知らずに…暢気なヤツだな)
―――きっと。
これからだって俺はお前に勝てないだろうし、お前はこれからも俺に勝ち続けるとは知らないのだろう。
(まぁ、簡単に教えてやらないけどな)
ノートに視線を戻して、ふっと口元で笑う。
どうせ、これからもこいつに負け続けるんだ。
このくらいの仕返し、したっていいだろう?
という訳で、更新再開の一作目です。やはり蓮ヒトです。
とりあえず、のせさんはヒトミちゃんのことが好きで好きでしょうがないです。
のせさんのベッドでクッション抱きつつ(←ここ重要)ゴロゴロするヒトミちゃんには、さすがにのせさんも目のやり場に困ると思う。
でもそれがいいと思うんですがどうでしょうか(聞くなよ)
ここまで読んで下さってありがとうございました。
2013.05.06
