「一ノ瀬さん、一ノ瀬さーん!」
「ぐふっ!」
ドアを開けた瞬間、腹部に衝撃を受けた蓮は彼らしからぬ声を上げた。

「………何だ」
色々言いたいことはあるが、とりあえず尋ねた方が懸命だろうと抱きついているヒトミを見遣る(目つきが悪くなってしまったのはしょうがない)
「見て下さい!これ!」
ペラッと見せられたのは1枚の英語のテスト用紙。
「…87点か」
そういえば、期末テストがあるとか言ってたな。
「前回より27点も上がったんですよ!」
えっへん!と自慢げに話すヒトミの答案用紙を取り上げて軽く目で追う。
「…こんな問題は満点取れるのが当たり前だろう」
というか、中間は60点だったのかお前。点が悪いとしか聞いてなかったんだが。
「そんなの一ノ瀬さんだけですよ!今回のテスト難しかったって皆言ってるんですから!」
俺の言葉に慌てて言ったかと思うと、ヒトミは嬉しそうににっこりと笑った。
「それより、85点以上だったんですから、約束守って下さいね!」
「約束?何のことだ?」
そう首を傾げると、ヒトミの様子が変わった。
「え…?苦手な英語のテスト85点以上取ったらって…や、約束したじゃないですか!」
「だから何のことだと言っている」
おかしな奴だな、お前は。
「〜〜っ!分かりました!もういいです!!!」
蓮の言葉にぷいっとそっぽを向いて荷物を片付け始めたヒトミに、少々やり過ぎたかと苦笑する。
「ヒトミ」
「……」
ヒトミの後ろから声をかける。
「冗談だ、覚えてる。『85点以上取ったらご褒美』だろう?」
持っていたテスト用紙を机の上に置いて。
「ふざけ過ぎたな。悪かった、帰らないでくれ」
「……」
「ヒトミ」
「……本当に反省してます?」
「あぁ」
その言葉にくるりと振り返って。
「なら許してあげますっ」
にっこりと満面の笑み。
そんな彼女へとそっと唇を落とした。
「なっ…!?」
驚くヒトミにニヤリと笑う。
「何を驚いてるんだ?…『ご褒美』が欲しかったんじゃないのか?」
「ご、ご褒美は『遊園地に連れて行ってくれる』約束ですよ!?キ、キキキキスじゃありませんっっ!!」
ヒトミは真っ赤になって必死に頭を振る(ブンブンと音が聞こえて来そうだ)
何度キスしていても、初めてのことのように真っ赤になる彼女。
遊園地なんてヒトミが言うならいつでも連れて行ってやるし、きっとそれをヒトミ自身分かっているはずだ。
それでも、その『ご褒美』の為に必死に勉強をしていたのだと思うと頬が緩む(意地でも彼女には見せないが)
そんな彼女が可愛く、愛おしい。
「そうか…。それは悪かった。…なら」
もう一度ニヤリと笑って。
「これはご褒美を間違えた『お詫び』だ」
そう告げて、また彼女の唇を塞いだ。
無駄にいちょいちょさせたかっただけです!(どきっぱり!)いちょいちょはいいよね!
ヒトミちゃんはご褒美があったら(いつも以上に)頑張りそうなイメージ。
飴と鞭を上手に使い分けながら、勉強を教えてあげてるんだと思うと…もう…ごちそうさまですってなる(真顔)
あと、のせさんに「ぐふっ!」と言わせたかった!100kg時代に培われた怪力はまだ健在(笑)
ここまで読んで下さってありがとうございました。
2009.12.06
