「『愛してる』っていう言葉は、本当にすごいって思うんだよね」
隣りから聞こえて来た親友の言葉に、蘭は首を傾げた。

まだ日も高い午後。
今日は特に用事もないからと、2人縁側に座って他愛もない話をしている時のことだった。
「急にどうしたの?」
「だってそう思わない?」
親友――あかねは無造作に足を揺らしながら笑った。
「『愛してる』って、恋人だけじゃなくて家族にも友達にも使えるでしょ?」
相変わらず、突拍子のない彼女に苦笑する。質問の答えにもなっていない。
「それなら『好き』って言葉も使えるでしょう?」
とりあえず、彼女の言葉にそう付け加える。
寧ろそっちの方が家族に使う典型的な言葉だろう。
家族に愛してる、なんて。
きっとお兄ちゃんは天地がひっくり返らない限り使わないだろう(寧ろ「そんなむず痒いこと言えるか!」なんて怒りそうだ)
「ん〜、そうなんだけど」
なんて言えばいいんだろ…とあかねは首を左右に傾げながら唸っている。
さて、今度は何を考えているのか。
蘭は隣りで唸っている親友を見遣って、くすりと笑った。
――龍神に愛された、神子。
いつも前だけを真っ直ぐと見て。決して諦めることのない、彼女。
そんな彼女に会って、私は救われた。
彼女と会わなければ、なんて。思いたくもないくらいに。
そう!と手を叩く彼女を見る。まだ唸っていたみたい。
「ほら、『好き』よりもっと好きな時とか!」
得意気に言う彼女がちょっとおかしい。
「『大好き』があるでしょ?」
くすっと笑う。
「それじゃ足りないんだもの」
力一杯答える彼女に降参。これは自分で考えるより聞く方が早いわね。
「というか…何の話なの?そろそろ教えてくれない?」
そう聞くと、あかねは「あっ、ごめん」と笑った。
「今日ね、起きた時にふと『あぁ、私って優しい人たちに恵まれてるな』て思ったの」
でね、と続ける。
「その人たちへの自分の気持ちを表す言葉って、何だろうって思って」
そしたら、『愛してる』に繋がったの。
なるほど。彼女の言葉を聞いて合点がいった。
だから『愛してる』ってすごいよね、と言ったのね。
「私はその人たちのどんな部分を見たとしても、この気持ちは変わらないから。だったら、『愛してる』でしょう?」
その人の、どんなに綺麗な部分も、醜い部分も。
…例え、嫌いな部分があったとしても。
きっと、何があっても私の気持ちは変わらない。
彼女の言葉に、そうね…と笑った。
「そう言われればそうかもしれないわ」
『好き』や『大好き』より、その人への揺るがぬ気持ちを言うには『愛してる』の方がしっくり来るかもしれない。
…それこそ、人によると思うけれど(やっぱりお兄ちゃんが言ってる姿は想像出来なかった)
「そうでしょ?だからね」
くるりとこちらを向いて。
「ありがとう、蘭。愛してる」
にっこりと笑う親友の言葉に。
どうしてか、泣きたくなった。
「……それはこっちのセリフだわ」
視界が滲んでいくのを気付かれないようそっぽを向いたけれど、遅かったみたい。
目を丸くして、慌てている彼女に気にせず笑って。
「私こそ、ありがとう」
私を見つけてくれて。
私を救ってくれて。
私の傍にいてくれて。
…愛してる、と言ってくれて。
ありがとう。
「私も愛してるわ」
なんだか気恥ずかしくなって、2人で笑い合った。
蘭ちゃん初登場。というか、主人公以外の女の子キャラ初…?(わあ!)
女の子同士の友情も好きです!ほくほくする!
お互いがお互いに支えられて今がある…みたいな!そんな感じで!
ここまで読んで下さってありがとうございました。
2008.12.26
