「はい、ネス!」
「……何だこれは」
 手渡された箱を怪訝そうに見ると、トリスはにっこりと笑った。
「チョコだよ?」
「チョコ…?」
 今日は何かの行事だっただろうか。
「えっとね、いつも迷惑かけてるからお詫びにと思って…」
「お詫び…。……台所は無事なのか?」
「…やっぱりあげない!」
 頬を膨らませる愛弟子に苦笑して。
「冗談だよ」

「あんまり甘くないものにしてみたんだけど…」
「…君が一人で作ってくれたのか?」
「あ、大丈夫よ?ちゃんとアメルや大将に作り方教えてもらったんだから!」
 トリスの言葉にチョコの調味料に何か変なものが入ってないか少し心配になる。
(シオンさんはたまにトリスをからかうからな…)

 一方、トリスは料理の類いが苦手だ。おにぎりも初めて作った時は異様に甘くて食べられたものではなかった(後に砂糖と塩を間違えたことが判明した)
 ただネスティだけは「マズい」と言いながら、全部平らげてくれたのだが。
「でも無理だったら…「無理じゃない」
 トリスの言葉を遮って箱を開ける。中に入ってる歪(いびつ)な形のチョコの一つを口に入れる。

「君が作ってくれたものには、僕への愛情が入ってるんだろう?」
 その言葉に真っ赤になりながら。
「たっぷりね!」
 半ばヤケで言っただろう彼女に笑う。
「どうせだから君も食べるか?」


 愛する恋人に溶けるチョコを口渡し。
 甘いのはチョコレートか、それとも……?






  トリスは料理が得意じゃないイメージがあります。そしてネスティは若干の味音痴(あれ?)
  「まずい」とか言いつつ、内心トリスの手料理にどきどきしてるに違いない!(笑)
  たまに意地悪な質問とかするネスが大好きだ!

  2008.11.03